新しい特徴の応用その3


最新更新日:2004年10月11日(月)

注:これは、Dr. Kromm 氏が(英語で)作成した記事を、ELIZAが正式な許可
をもらった上で日本語に翻訳したものです。(残念ながら、原文は現在WEB
上に存在しません。)

「徹甲」の増強の効果は、ダメージ決定に用いられるダイスの数と防護点に
よって決まります。そのため、その価値は時と場合により異なります。(防護
点が0の相手には「徹甲」は意味がありません。)(防護点に対して)極端に
高い防護点の除数の、ダイス数の少ない攻撃のことを考えなければ、xDの
攻撃(防護点の除数はd)の攻撃を防護点yの相手に与えたときのダメージ
は平均で3.5x−y/d点となります。(普通のxDの攻撃の攻撃を防護点yの
相手に与えたときのダメージは平均で3.5x−y点となります。)すなわち、こ
の2つの比Rは以下のような式で表されます。

R≡((「徹甲」をかけた攻撃でのダメージ)/(通常の攻撃でのダメージ))
 =((7xd−2y)/(7xd−2yd))

この問題を考えるときにはどういう状況で「徹甲」の増強が使われているのか
ということを決めなければなりません。ここでは「ゲームバランス」をもとに話を
進めることにします。(キャラクターが)攻撃と防御に同じだけのCPを割り振っ
ているキャンペーンの場合、((妖術の威力1レベル分で)1Dのダメージを与
えるのに必要なCPは6CP、(英語版のGURPSで)「防護点」1点に必要なC
Pは3CPなので)y=2xとなります。つまり、Rは以下のようになります。

R=((7d−4)/3d)

このRの値を「徹甲」の増強として用いる場合、その修正率は(R−1)×100
(%)、すなわち((400/3)×(d−1)/d)(%)となり、これを表にすると以下
のようになります。

防護点の除数(d)(正確な)増強率増強率(の概数)
+0%+0%
4/3+33%+35%
+67%+65%
+89%+90%
+100%+100%
+107%+105%
+111%+110%
+114%+115%
+117%+115%
+118%+120%
10+120%+120%

GURPSでよく使われている防護点の除数で考えれば、(2)の「徹甲」で+65
%、(5)の「徹甲」で+105%、(10)の「徹甲」で+120%の増強となります。
(訳注:(d)は、「防護点をd分の1(端数切り捨て)にする攻撃」のことを指しま
す。)この増強率は、「ゲームバランス」の取れたキャンペーンにふさわしいもの
です。キャラクターが攻撃(妖術)に多くCPを割く(ないしその逆の)ようなキャン
ペーンでは、「徹甲」の増強率はそれに応じて変わります。

例その1:ジェーンは10D(60CP)(訳注:威力レベル10)の攻撃(妖術)を持
っており、ジョーは20点の「防護点」(60CP)を持っています。(「徹甲」のこと
を考えない場合、)期待値的に、ジェーンはジョーの防護点を抜いて15点のダ
メージを与えることができます。(訳注:この例、およびこれ以下の例では、防
具や「頑強」などのその他の特徴による防護点のことは一切考えていません。)
ここでジェーンの攻撃(妖術)に「徹甲(2)」の増強がかかっている場合は25点、
「徹甲(5)」の増強がかかっている場合は31点、「徹甲(10)」の増強がかかっ
ている場合は33点のダメージを(平均で)与えます。つまり、ジェーンはそれぞ
れ25/15=1.67倍、31/15=2.07倍、33/15=2.20倍のダメージ
を(ジョーに)与えます。(訳注:問題の計算は、有効数字3桁で丸めて計算して
います。)そのため、「徹甲」の増強は上で求めたように、(2)の「徹甲」で+65
%、(5)の「徹甲」で+105%、(10)の「徹甲」で+120%の増強となります。

例その2:キャラクターが防御によりたくさんのCPを割く場合を考えてみます。
ジェーンは10D(訳注:威力レベル10)の攻撃(妖術)を持っており、ジョーは
30点の「防護点」を持っています。(「徹甲」のことを考えない場合、)期待値
的に、ジェーンはジョーの防護点を抜いて5点のダメージを与えることができ
ます。ここでジェーンの攻撃(妖術)に「徹甲(2)」の増強がかかっている場合
は20点、「徹甲(5)」の増強がかかっている場合は29点、「徹甲(10)」の増
強がかかっている場合は32点のダメージを(平均で)与えます。つまり、ジェ
ーンはそれぞれ20/5=4.0倍、29/5=5.8倍、32/5=6.4倍のダ
メージを(ジョーに)与えます。そのため、「徹甲」の増強は、(2)の「徹甲」で
+300%、(5)の「徹甲」で+480%、(10)の「徹甲」で+540%の増強と
なります!

例その3:キャラクターが攻撃によりたくさんのCPを割く場合を考えてみます。
ジェーンは10D(訳注:威力レベル10)の攻撃(妖術)を持っており、ジョーは
10点の「防護点」を持っています。(「徹甲」のことを考えない場合、)期待値
的に、ジェーンはジョーの防護点を抜いて25点のダメージを与えることがで
きます。ここでジェーンの攻撃(妖術)に「徹甲(2)」の増強がかかっている場
合は30点、「徹甲(5)」の増強がかかっている場合は33点、「徹甲(10)」の
増強がかかっている場合は34点のダメージを(平均で)与えます。つまり、ジ
ェーンは(ジョーに)それぞれ30/25=1.20倍、33/25=1.32倍、34
/5=1.36倍のダメージを与えます。そのため、「徹甲」の増強は、(2)の
「徹甲」で+20%、(5)の「徹甲」で+30%、(10)の「徹甲」で+35%の増
強となります。

上の例からも明らかなように、「徹甲」の増強の(「ゲームバランス」に沿った)
増強率は非常にややこしい問題です。


戻る