新しい特徴の応用その4


最新更新日:2009年8月6日(木)

 GURPS第3版では、<言語>にも(他の言語からの)技能なし値があり、「技
能なし値を持つ技能の成長」のルールが適用される場合があります。(ベーシ
ック【完訳版】の、67ページと77ページを参照してください。)
 このルールにはそれなりの存在理由(整合性)があったのですが、「言語」を
特徴として扱うGURPS第4版(日本語版)でそのルールが完全に消滅したた
め、問題が発生しうるようになりました。以下では、その問題に対処するため
の追加(ハウス)ルールを解説していきます。

(注意:以下のルールは、基本的にELIZAが考えただけのハウスルールであ
り、決して公式なルールではありません。公式なルールとしては、Steve Jacks
on Games のFAQに こちら のような指針が書かれています。)


何が問題なのか

テクニックとしての言語

世界観と言語間の技能なし値

言語力

応用例


何が問題なのか

 「言語」を特徴として扱う際の問題は、特徴には明確な閾値があること、つま
り「あるかないか」しか存在しえないことです。現実世界では、(スペイン語とポ
ルトガル語のような)よく似た言語の片方に習熟していればもう一方の言語の
意味も(ある程度は)理解できる、ということは十分に考えられます。また、混
成語(ないし母語化した混成語であるクレオール言語)は元の言語とは別の言
語ですが、元の言語の使い手がその混成語を(全く)理解できないのは明らか
に不自然です。
 GURPS第4版では、そのような状態を再現するためには問題となる「言語」
を全て習得している必要がありますが、それには多くのCPが必要になります。
 「文化適応」でも似たような事態が発生しえますが、「文化適応」の場合は文
化の区切りを非常に大きなもの(例えば「文化適応/ヨーロッパの文化」)にす
れば(大抵の場合)問題は解決します。(ベーシック【第4版】キャラクター、24
ページを参照してください。)しかしながら、「言語」の場合は(現実に「世界共通
語」が存在しない以上)そのようなことはできません。そのため、「言語」には技
能なし値(と同様)の概念が必要になり、特徴として扱うには無理が生じるので
す。


テクニックとしての言語

 先に述べたように、言語には技能なし値(と同様)の概念が必要となるのです
が、それではなぜGURPSが第4版になった際に「言語」が特徴となったのでし
ょうか?
 これは、GURPS第3版において<言語>は精神技能であるため、知力の高い
キャラクターが多くの<言語>を0.5CPづつ払って(比較的)高いレベルで獲得
するような事態を避けたかったためと考えられます。技能には(基本的に)基準
となる能力値が存在するため、そのような問題が必然的に発生するのです。ま
た、技能は(基本的に)際限なくレベルを上げられるため、技能なし値で導かれ
る他の<言語>もレベルを高くできてしまいます。
 では、言語をテクニックと考えればどうでしょう? テクニックには(基本的に)
レベルに上限があるため理不尽に高いレベルにすることはできません。ここで、
GURPS第4版ではテクニックの基準が自由なのを利用します。【言語】の基準
を(暫定的に)定数10にして難易度を並にすれば、既存のルールと消費するC
Pが同じになってバランスが取れるのです。
 こうして、「言語」を以下のようなテクニックとして再定義することができます。


世界観と言語間の技能なし値

 さて、言語間での技能なし値が定められるように言語をテクニックとして再定
義したのはよいのですが、実際に言語間の技能なし値にはどの程度の修正を
かければよいのでしょうか? これは(GMの)世界観によって変わってくるので
一概には言えませんが、考えられるパターンを3つほど例示しておきます。
 なお、例として書かれている「アイン・アリスへの旅」はベーシック【完訳版】に
入っているシナリオで、<ランタラ語>が−3修正で<ノーミック語>に、−5修正で
<エイユンの交易混合語>になるという言語間の技能なし値の関係があります。
(ベーシック【完訳版】293ページのサイドバーを参照してください。)

(注意:ここで紹介した技能なし値の関係のうち、「言語間の相関」はSteve Jac
kson Games の
指針 と(実際の)ルール的な運用がほぼ同じになります。また、
英語版GURPS第4版用に調整し直された「アイン・アリスへの旅」(GURPSの
記事などをオンラインで「購入」できるe23から無料で「購入」することができま
す。)では、言語の技能なし値の関係として、ここで書いている「共通語」と同等
のルール運用がされています。)


言語力

 上記のルールの導入により、言語をテクニックとして扱うことができるようにな
りました。では、これをもっと活用するにはどうしたらよいでしょうか?
 GURPS第4版では、「言語」は最高でも「母語レベル」にしかならず、「言葉の
達人」のようなキャラクターは<記録>などの技能を高いレベルで獲得することで
再現することになっています。(ベーシック【第4版】キャラクター、25ページを参
照してください。)
 しかし、それでは「言葉を適切に使い分けることができ、多少意思疎通に障害
がある場合でも適応できる」キャラクターを再現することはできません。また、言
語の天才の(「言語の才能」を持っている)キャラクターが、母語の使用において
は普通のキャラクターと全く変わりがない、と言うのも変な話です。また、現行の
ルールでは、「言語の才能」を持っているキャラクターが何のペナルティーも被る
ことなく「母語の教育をあまり受けていない」ことで2CPを獲得することができる
のです!
 これらの問題は、言語を使った意思疎通そのものに長けた「言語の天才」の存
在を認めれば全て解決されます。ルール的には、【言語】の基準と上限を「言語
力」という副能力値として設定すればいいのです。その場合、「言語力」と【言語】
のルールは以下のように(再)設定されます。


応用例

 上記のルールの導入により、言語力という副能力値を定義することができまし
た。
 では、これを実際のゲームで活用するにはどうしたらよいでしょうか? 以下に
その活用例を並べます。


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