注:これは、Dr. Kromm 氏が(英語で)作成した記事を、ELIZAが正式な許可
をもらった上で日本語に翻訳したものです。(残念ながら、原文は現在WEB
上に存在しません。)
以下の選択ルールを使えば、COMPENDIUM IIの94(〜99)ページで紹介
されている集団海戦ルール*で、大砲を持たない(TL3以下の)船を扱うこと
ができるようになります。実際問題として、火薬が発明されていない時代に軍
艦に積み込まれているほとんどの武器は―(衝角での)体当たりを除いて―他
の軍艦にダメージを与えることは(ほとんど)できません。火薬(を使った武器)
が発達した大航海時代より前の(時代の)船は、基本的に板で覆われていて
「穴」がありません。(COMPENDIUM IIの)集団海戦ルール*でTL3以下の
武器のデータが(故意に)無視されているのはこのためです。((COMPENDIU
M IIの)集団海戦ルール*では、まず(海戦による)船へのダメージと、それに
伴いキャラクター(PC)が受けるダメージを処理することを念頭においており、
(相手の)船に乗り込んで行う戦闘は(あまり)意識されていません。)
なお、以下のルールでは、弩(型の<砲術>兵器)、小型の(重量物を投射するタ
イプの)<砲術>兵器、弓兵隊、(船ごとの)体当たりを(攻撃手段として)用いる船
(による海戦)を扱います。
弓や弩(型の<砲術>兵器)の矢は、船(内)から発射することはできるものの、
普通はあまり効果がありません。しかし、火(矢)による攻撃は、海戦では致命
的なことにもなりえます。これを再現するため、(COMPENDIUM IIの)集団
海戦ルール*を用いて、1回だけ連鎖弾*(訳注:連鎖弾とは、主に帆やマス
トにダメージを与えるために発射する、2つの弾丸を鎖でつないだ弾丸です。
連鎖弾は、軽いダメージなら(命中しても)ダメージなしということもしばしばで、
重いダメージでも船が沈むようなダメージは与えません。)の射撃によるダメー
ジを(それぞれ)求めてください。(火(矢)による攻撃は、連鎖弾による攻撃と
似たようなダメージを帆やマストに与えるのです。)なお、この際、(弓矢の)火
矢は射手一人につき1(合計砲弾ポンド*)、弩(型の<砲術>兵器)の火矢や
(重量物を投射するタイプの)<砲術>兵器で投射する(「ギリシャ火薬」を用い
たTL4以下の)火炎瓶は武器の必要体力の10分の1(の合計)(合計砲弾ポ
ンド*)、(「ギリシャ火薬」を用いたTL5以下の)火炎放射器(訳注:この「火炎
放射器」は、基本的に現在の「火炎放射器」とは別物です。後者は<銃器>(な
いし<砲術>)技能で判定しますが、前者はそれ専用の技能を必要とします。)
は1つにつき5(合計砲弾ポンド*)の火力*として考えてください。
(訳注:火力*は、(コンプRPG、1996年8月号に載っている)集団戦闘ルー
ルの「戦闘力」に相当するもので、2つは同じような(ルール的)処理を行いま
す。)
(海戦をしている)双方の側の船が衝角を持っている場合、それぞれの船の舵
を取っている人の<操縦/船舶>技能(訳注:<操縦/船舶>(名前だけならばサ
イオニクスで紹介されています。)は、<航法>や<気象学>、<船乗り>を前提条
件とする精神技能で、<操縦>(本来、「空を飛ぶ乗り物」を操る技能です。)とは
何の関係もありません。)に、自分が舵を取っている船の操作性*の修正(訳
注:操作性*は、(小さな1本マストの船で−1〜−3、3本以上のマストがある
(大きな)船で−4〜−6というように)船の大きさによって大体決まります。)を
かけたもので即決勝負を行います。この判定で勝った方は、(相手の船に)自
分の船をぶつけるか、自分の船が相手の船にぶつけられないようにするか、
いづれかを選ぶことができます。船が衝突したら、ぶつかった船がCOMPEN
DIUM IIの94ページの船の表で何行目にあるかを調べます。(1行目から6
行目のいずれかに分類してください。)(訳注:船のマストの数を2倍したもの
(ただし最大でも6)に、修正(戦闘用でない(小さい)船ならば−1、そうでなけ
れば±0)を加えても同じ結果になります。)これが(ぶつかった)船の大体の質
量の目安になります。ここで1Dを振り、COMPENDIUM Iの96ページ(訳注:
これはどう考えても、COMPENDIUM IIの96ページの間違いです。)の船体
損傷*表で、先に求めた(船の質量の目安となる)数字と同じ行の欄を見て船
体損傷*を求めます。(訳注:船体損傷*は、(軽損傷*、中損傷*、大損傷
*のそれぞれで)指定された回数だけ2D(1本マストの船ならば1D)を振り、そ
の結果を
このページ
のP.97の項にある表に(全て)当てはめて求めます。)
衝角を持っていない船でも、船の舵を取っている人が望むならば、(他の船に)
体当たりを仕掛けることができます。(訳注:衝角があってもなくても、体当たり
を仕掛けたりかわしたりする判定に変わりはありません。)しかし、その場合は
ぶつかられた船が自分の船に体当たりをしたのと同じだけの損傷を自分の船
が受けます。
例:3本マストの商船(5行目)が大きな1本マストの船(2行目)にぶつかりまし
た。商船の船長(を操る人)は1Dで4を振ったので、(1本マストの船に)軽損傷
*2回、中損傷*2回、大損傷*1回の損傷を与えます。しかし、商船には衝角
がなかったので、1本マストの船が商船に体当たりしたのと同じように、1本マス
トの船の船長(を操る人)は(商船に与える)損傷を振ります。(1Dで)3が出たの
で、商船には軽損傷*1回、中損傷*0回、大損傷*0回の損傷が与えられま
した。
弓兵隊、弩(型の<砲術>兵器)、小型の(重量物を投射するタイプの)<砲術>兵
器を、(相手の船に)乗船(しての戦闘)の(直)前に使う場合、COMPENDIUM
Iの98ページ(訳注:これはどう考えても、COMPENDIUM IIの98ページの
間違いです。)にあるブドウ弾*(訳注:ブドウ弾とは、船上にいる人間に効率よ
くダメージを与えるために用いる、散弾銃の弾をそのまま大きくしたような砲弾
です。)のルールを適用します。ここで(この海戦に巻き込まれている)PCはもう
一度(生存のための)生命力判定*(訳注:(TL3以下用)集団海戦ルール*を
用いている場合は、「個人戦闘力」が「生命力」になり、(自分の)船の大きさに
よる修正(大きければ+、小さければ−)と受けた損傷によるペナルティーが加
わるだけで、基本的には(コンプRPG、1996年8月号に載っている)集団戦闘
ルールの「生存判定」と同じものになります。)を行い、((コンプRPG、1996年
8月号に載っている)集団戦闘ルールの)「戦闘力」が(それぞれ)減少します。
ブドウ弾*のルールをそのまま用いてください。ただし、「戦闘力」への損害を求
める際には、船にいる射手の射撃武器の技能(<弓>、<弩>、<砲術/アーバレ
スト>など)を用います。(訳注:本来のブドウ弾*のルールでは、(船の)砲手の
中で最も高い<砲術>技能で(1回)判定し、成功すればその成功度に応じて相手
の「戦闘力」が減少します。ただし、甲板の下にいる人は全く無事な上、どれほど
<砲術>技能に成功しても「戦闘力」は最大2割しか減りません。)
ほとんどのTL3以下の海戦では、(本来の集団海戦ルール*や集団戦闘ルー
ルにあるような)<戦術>の即決勝負は行わず、そのまま船付け*(COMPEND
IUM Iの98ページ(訳注:これはどう考えても、COMPENDIUM IIの98ページ
の間違いです。)を参照してください。)の処理を行います。(船付けを行いたいと
思っている側の船が)<操縦/船舶>技能の即決勝負に勝って相手の船に船付
けをした後(の戦闘)は、集団戦闘ルール(COMPENDIUM Iの98ページ(訳
注:これはどう考えても、COMPENDIUM IIの98ページの間違いです。なお、
日本語版のGURPSではコンプRPGの1996年8月号で紹介されています。)を
参照してください。)を用いて処理します。